新生児のために母乳を飲ませたり、ミルクを作ったりしますが1日に何度もミルクを作るのは面倒です。
最初は赤ちゃんのために自己犠牲の精神で育児を頑張ろうと思ったのですが、平日サラリーマンとして仕事をしている私にとって、ほとんど2時間おきにオシメの交換、調乳(粉ミルクをお湯で溶いて乳児の人工乳を作ること)することはかなり肉体的にも精神的にも辛い状態でした。
たとえば、夜中の1時に赤ちゃんの泣き声に起きて「オシメの交換」→「お湯を沸かす」→「ミルクを作る」→「哺乳瓶を洗う」という一連のルーティンを繰り返すと1時45分くらいに終わり、3時にまた赤ちゃんが泣くという繰り返しで全然寝る時間が確保できませんでした。
そこで「最初に母乳を搾乳したり、ミルクを作るかして保存しておけば寝る時間が確保できるのでは?」と考えて助産婦さんや病院に問い合わせたり、本やパンフレットなどを調べてみました。
乳児用粉ミルクの調乳や保存・取扱いに対するガイドラインがあった
調べたら厚生労働省が仮訳した乳児用粉ミルクの調乳に関するガイドラインがありました。
「厚生労働省医薬食品局食品安全部」が仮訳した「世界保健機関(WHO)及び国連食糧農業機関(FAO)」が作成した「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」です。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1b.pdf
【重要な部分の抜粋】
一般的には、感染のリスクが最も高い乳児には、無菌状態の液状乳児用ミルクが推奨されるが、無菌状態の液状乳児用ミルクが入手できない場合は、PIFを70°C以上の温度の湯で調乳することで、リスクを大幅に減少させることができる。調乳から授乳までの時間を最小限にすることでもリスクは減少し、また、調乳後の保存温度を5°C以下にすることでも減少させることができる。
※PIFとは Powdered infant formula(乳児用調製粉乳)の略語です。
要約すると以下のようになります。
- 乳児は感染のリスクが最も高い
- 無菌状態の液状乳児用ミルクが推奨
- PIF(乳児用粉ミルク)を70°C以上の温度の湯で調乳する
- 調乳から授乳までの時間を最小限にする
- 調乳後の保存温度を5°C以下にする
乳児は感染のリスクが最も高い
新生児の赤ちゃんは成人と異なり、まだまだ免疫機能が未熟な状態です。
そのため、病気のもととなる雑菌への防御が弱く感染しやすい、もしくは感染した場合に重症化する可能性があります。
栄養や感染防御を考えると母乳が一番いいが大変
母乳は乳児にとっては最高の栄養と言われます。
栄養だけではなく乳児の感染防御の点で非常に優れています。
特に発展途上国のような清潔な水を確保できない環境では、粉ミルクで利用する水が汚染されている可能性がありますが、母乳ならそのような心配はありませんし、母乳の中の様々な抗病原体が乳児を守ってくれます。
ちなみに母乳には全く菌が含まれていないわけではなく、数百種にも及ぶ菌が含まれていますが、それらは逆に乳児にとって有益な菌となります。
※その反面HIVなどのウィルスが母乳から乳児に感染するリスクもあります。
無菌状態の液状乳児用ミルクが推奨
上記のガイドラインで「無菌状態の液状乳児用ミルクが推奨」とされていますが、ここで液状乳児用ミルクと呼んでいるのは、乳児用に調整された「粉ミルク」と「液体ミルク」のうち「液体ミルク」のことを言います。
液状乳児用ミルクは、乳児用液体ミルクとも言い、2016年(平成28年)4月14日に発生した熊本地震の際に、フィンランドから保育所などに無償で提供されたことで話題になりました。
乳児用の栄養源としては「母乳」が一番ですが、母乳だけでは足りない場合や、母乳を飲ませられない時(時間的な問題、傷がついている場合など)に、日本では母乳の代わりに母乳代替食品(育児用粉ミルク)を使用します。
液体ミルクは、現在日本では製造・販売が認められていませんが、海外では一般的に利用されている国(アメリカなど)もあり、母乳代替食品の一つとしてその有用性が注目されています。
■液体ミルクのメリット
- 育児の負担軽減
夜間や共働き世帯、母親不在時などでも授乳可能です。(粉ミルクもそうです) - 外出先でも便利
ミルクを作る手間が省略され、外出時の所持品も少なくなります。 - 災害時の備えとしても利用が可能
ミルクを作るためのお湯が不要です。また乳首付きのペットボトルタイプだと哺乳瓶さえ必要なくなります。さらに調整済みのため、雑菌混入のリスクが低くなります。
■液体ミルクのデメリット
- 粉ミルクに比べて価格が高い
→ 粉ミルクに比べて製造工程が複雑になるため、欧米市場に比べても2倍以上の価格差が発生します。 - 母親、赤ちゃんの好みが受け付けるか不明
→ 色への違和感や、常温で飲むこと、味の好みなど今まで親しんでいたものと異なるため、受け付けない可能性があります。
PIF(乳児用粉ミルク)を70°C以上の温度の湯で調乳する
やけどに気を付けて、水を一度沸騰させた後に、70℃以上の温度まで冷ましてから哺乳瓶に注ぎます。
一番のポイントは「70℃以上のお湯」ではなく、「沸騰したお湯で70℃以上の温度の状態でミルクを作る」ということです。
- 水道水 ← 70℃くらいまで温めたお湯 ←沸騰していないためNG
- 水道水 ← 沸騰させる ← 70℃以上のお湯まで冷ます ← 一度沸騰している且つ70℃以上なのでOK
我が家で使っている70℃保温調乳ポット
我が家では Combi の「調乳じょ~ず70」を使っています。
パッケージには「WHO 調乳ガイドライン対応」と記載があります。
パッケージの裏面です。
「WHO調乳ガイドラインとは」で「2007年6月、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)によって作成された「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存および取扱いに関するガイドライン」が厚生労働省より発表されました。この中では有害な細菌を殺菌するため、70℃以上のお湯でミルクを作るように指導されています。この内容にしたがって、国内の粉ミルクメーカーでは調乳の温度を70℃以上に変更しています。」
また、「本製品は、いつでもこの新しい調乳温度の70℃以上のお湯を保温できますので、必要な時に素早く安全にミルクを作ることができます。」と記載があります。
使い方は簡単で水を沸騰させて●822&ID=AsinImage&WS=1&Format=_SL250_&tag=seiko0bf-22″ border=”0″ /><i●ed84b9e” target=”_blank” rel=”noopener”>コンビ 調乳じょ~ず 70HW
調乳から授乳までの時間を最小限にする
調乳(乳児用のミルクを作ること)したらすぐに乳児に授乳させることが大切です。
しかしすぐに授乳できない場合でも2時間を経過したら廃棄します。
もったいないと言わずに「捨てることが重要」です。
調乳後の保存温度を5°C以下にする
計画的に粉ミルクを調乳する場合は、調乳後すぐに5℃以下の冷蔵庫に保存します。
すぐに冷蔵庫に保存した場合は24時間まで保存できます。
結論は面倒でもミルクを作ったらすぐに使用すること
結局、助産婦さんに聞いたり書籍や資料を調べてみましたが、ミルクを作り置きしておくことはいずれもお勧めされていません。
「自己責任でルールを変えることはできます」と言われますが、「疲れるから」とか「大変だから」などという理由なら、変えない方がいいでしょう。
「今、アフリカの僻地に暮らしていて物理的に無理」などの理由がなければ、実績のあるルールに従うべきでしょう。
「作り置きのミルク」と、「赤ちゃんが飲み残したミルク」は異なる
「作り置きのミルク」と、「赤ちゃんが飲み残したミルク」は異なります。
- 作り置きのミルク ← 調乳後すぐに冷蔵庫に入れたミルク
- 赤ちゃんが飲み残したミルク ← ちょっとでも赤ちゃんが飲んで赤ちゃんの唾(つば)がついているミルク
作り置きのミルクは環境を整えれば24時間までは保存できますが、赤ちゃんが口を付けて飲み残したミルクは、多少残っていて「もったいない」と思ったとしてもすぐに廃棄しましょう。
母乳の保存方法
上でも言いましたように「母乳は乳児にとっては最高の栄養」で且つ「乳児の感染防御の点で非常に優れて」います。
赤ちゃんのお腹が空いたら、そのたびに母乳を与えることが出来ればいいのですが、なかなかそうはいきません。
赤ちゃんの吸う力が強くて乳首が傷つき、授乳を続けることができなくなり、メデラの乳首保護カバーを利用していました。
S、M、Lサイズがありますが、買うとしたら「Lサイズ」がいいでしょう。
赤ちゃんの吸う力が強いので、小さいサイズだと隙間が出来ずにあまりシリコンパッドの利点が活かせずに痛みを感じるかもしれません。
Medela メデラ 乳首 保護カバー Lサイズ 24mm コンタクト ニップルシールド (200.1634)
また、いつでも母乳を出せるわけではないので「ピジョンの搾乳器」も使っていました。
以下が部品一式です。簡単に組み立てることができます。
ピジョンの「さく乳器母乳アシスト First Class」は「準備モード」と「さく乳モード」の2段階のモードがあります。
ピジョン さく乳器 母乳アシストの説明書です。
「母乳保存の仕方」についての解説があります。
- さく乳直後の母乳 →冷蔵保存(4℃以下)で24時間 →冷凍保存(-18℃)で3か月
- 解凍した母乳(冷蔵庫または流水で解凍) →冷蔵保存(4℃以下)で24時間 →冷凍保存(-18℃)は不可
■冷凍母乳の解凍の仕方
- 40℃前後のぬるま湯で湯煎する
- 冷蔵庫に入れる(解凍開始から24時間まで)
- 流水を当てる
ピジョン Pigeon さく乳器 母乳アシスト 電動 First Class ファーストクラス 最適な強さと速さでさく乳したい方に
搾乳器を利用することで何とか痛みを感じずに「母乳」を取ることができます。
しかしどうやって母乳を保存すればいいのでしょうか。
またどれくらいの期間保存できるのでしょうか。
母乳のイメージとしては「粉ミルク」よりも「生もの」っぽいので長持ちはしなさそうです。
母乳は室温保存、冷蔵保存、冷凍保存の方法があります。
母乳を室温保存する場合
室温保存はしない、しても1時間以内に飲ませます。
基本的には母乳は室内で保存しません。
母乳を冷蔵保存する場合
母乳を搾乳したらすぐに5℃以下の冷蔵庫に入れることで24時間保存することができます。
母乳を冷蔵保存するときは専用の密封パックを利用します。
母乳を冷凍保存する場合
母乳をすぐに冷凍保存する場合は2週間保存できます。
しかし一旦冷凍庫に入れて冷凍した場合は冷凍期間の管理はできないのですぐに利用するべきでしょう。
こちらも母乳を冷凍保存するときは密封パックを利用します。